たなおろス。

妄想癖・脱線症と戦いながら、映画や本、世事について、思ったことを 棚卸し(たなおろし)するブログ。

2008年5月の読書

今月の偏読は「本の本」と「着物」。着物は『おせん』の影響(笑)。

『私の男』 桜庭 一樹
『消えた直木賞 男たちの足音編』 川口 則弘
『ラス・ヴェガスをブッつぶせ!』 ベン・メズリック
『血と暴力の国』 コーマック・マッカーシー 黒原 敏行
『ネットオークションで騙す。全米を揺るがした絵画詐欺犯の告白』 ケネス・ウォルトン
『眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎』 ダニエル T.マックス
『消えたカラヴァッジョ』 ジョナサン・ハー
『鐵のある風景―日本刀をいつくしむ男たち』 森 雅裕
『あたりまえのこと』 倉橋 由美子
『偏愛文学館 』 倉橋 由美子
『本の本―書評集1994-2007』 斎藤 美奈子
『大好きな本 川上弘美書評集』 川上 弘美
『百年の誤読 海外文学編』 岡野 宏文 豊崎 由美

私の男 消えた直木賞 男たちの足音編 ラス・ヴェガスをブッつぶせ! 血と暴力の国 (扶桑社ミステリー マ 27-1) ネットオークションで騙す。  全米を揺るがした絵画詐欺犯の告白 眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎 消えたカラヴァッジョ 
鐵のある風景―日本刀をいつくしむ男たち あたりまえのこと (朝日文庫) 偏愛文学館   本の本―書評集1994-2007 大好きな本 川上弘美書評集 百年の誤読 海外文学編

『自宅でパン屋をはじめました』 大和田 聡子
『夜中にジャムを煮る』  平松 洋子
『一田食堂』 一田 憲子
『日々の食材ノート』 渡辺 有子
『お料理コーディネイト帖』 長尾 智子
『サルビア給食室の週末ストックと毎日のごはん』 ワタナベ マキ
『きもの熱』 清野 恵里子
『豆千代の着物モダン』 豆千代
『君野倫子のきもの着せかえあそび』 君野 倫子
『きもの便利帖』 君野 倫子
『草手帖』 かわしま よう子

自宅でパン屋をはじめました 夜中にジャムを煮る 一田食堂 日々の食材ノート お料理コーディネイト帖 サルビア給食室の週末ストックと毎日のごはん
きもの熱 豆千代の着物モダン (マーブルブックス) きもの便利帖 君野倫子のきもの着せかえあそび 草手帖 

  1. 2008/05/30(金)
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「食堂かたつむり」と板東眞砂子

食堂かたつむり食堂かたつむり 小川糸

食べることは愛することであり、愛されることであり つまり生きることなんだ。って改めて教えられる素敵な物語でした。
 − 草野 マサムネ(スピッツ)

毎日口にするごはんにこんなに物語が詰まっているなんて気がつかなかった。これからは大きな声で「いただきます」と言いたい。 − 岡野 昭仁(ポルノグラフティ)

最初に本屋で平積みのこの本を見たとき、帯のコメントがオーラを放っていた(笑)。その時はなかなか乙な選出だなぁと思ったのだが、その後にTVの王様のブランチで取り上げられ、著者のインタヴューを見て合点がいった(あ、仲間内ってことね)。著者のブログ糸通信の中で、コメントしてくれた二人にお礼が述べられている。

興ざめする人もいるだろうが、宣伝というのは得てしてそういうもので。本の帯というのは絶大な効果を発揮する。それが畑の違う人気歌手のコメントとなればPR性は十分、彼らのファン層や普通なら手にしない男性にまで裾野は広がる。そうじゃなくても女性たちは「食堂もの」に滅法弱く(私も)、食堂の匂いとスピッツが醸しだす心地よさとカバーイラストの可愛さが渾然一体となって、世のかもめ症候群たちの五感をくすぐる。そして甘いだけではないピリリと辛いスパイス。著者のバックグラウンド。この本にはヒットの要素が揃っている。

それにしても、いろんなデジャヴを与える本だ。
まずは、吉本ばななの「キッチン」(満月)。
大好きだった祖母の死。
母ルリコは、田辺雄一の母えり子を髣髴。
「美容整形して女装した中年の男みたい」なルリコ、ほんまもんの中年男えり子(笑)。

さらに、連想炸裂。
食堂=かもめ食堂、おかん=東京タワー、エルメス=電車男。後二つは後述。
2006年3月のポプラ社小説大賞の応募作だそうだが、ちょうどその頃の話題作キーワードが揃って登場するのは偶然か狙ってか?

「かもめ食堂」は採算や食材ロスといった現実問題を排除した話だったが、その点では食堂かたつむりも似たり寄ったり。倫子が開く食堂のスタイルはこんな感じだ。

それは、一日一組だけの、ちょっと変わった食堂だ。
前日までにお客様と面接もしくはファックスやメールでやり取りし、何が食べたいとか、家族構成とか将来の夢とか予算などを、細かく調査する。私はその結果に基づいて、当日のメニューを考える。


えーかつて、プティ・エトワールというレストランにとても可愛いシェフがおりました。
シェフの名は鴨沢瀬理。彼女は、お客との会話を通じてその客に合った料理を作るという天賦の才能を持っていました−−−。
矢田亜希子2002年に放送された矢田亜希子連ドラ初主演作「マイリトルシェフ」。レコード大賞をとった主題歌(浜崎あゆみの「Voyage」)ほど話題にはならなかったけれど、毎週欠かさず見ていた。
HPを見ると、瀬理は25歳。食堂かたつむりの倫子も25歳。(その矢田ちゃんも今や三十路の一児の母・・・)
恐るべし25歳・・・。

著者はアミューズに所属されているそうで、映画化まっしぐらという感じだが、この本の映像化の前には非常に難しいハードルが横たわっている。
下ネタ用語が意外に多い・・・ってことじゃもちろんなくて(笑)、屠畜を克明に描いているから。そしてこれは絶対に飛ばせない肝の部分なのだ。命を食べることをテーマにしている点で超現実的であるような、25歳の女性にいきなり屠畜が出来るかどうかという点で非現実的でもあるような。
倫子はただ目を背けないだけではなく、自らの手で解体するという任務も全うする。

鶏をつぶすシーンで、板東眞砂子女史が日経夕刊コラムに寄せた「肉と獣の距離」を思い出した。以前ブログにも書いたが、彼女はこの中で、「私は鶏は殺すことができる。」と書いている。そしてその後に同じ口調で「私は子猫を殺している。」と書き、日本中のバッシングを浴びることになるのだが(笑)。このコラムで彼女の生き物を食べる姿勢が分かる。子猫殺しばかり取り上げられたけど、「肉と獣の距離」だって少しは取り上げてほしかったように思う。

では、もし、猫を余すことなく食べるのだったら・・・・?
それを問うのが、この「食堂かたつむり」である。(え?違う?)

いのちの食べかた (よりみちパン!セ)板東眞砂子の命の食べ方はスルーされたけど、森達也著のいのちの食べかた (よりみちパン!セ)は多くの人に読まれ、その題名を拝借した同名映画(ドイツ・オーストリア製作)も公開され話題を呼んでいる。そういう意味では、とてもタイムリーなテーマともえいる。

食材を無駄にせず余すところ無く食べるというのが倫子の強い思い。
でも、一人二人の客のためのメニューだと、食材は無駄にならないのだろうか?
原価率も心配だし、何より倫子の体重が心配だ。
(でも一番心配になったのが、2番目のお客である「お妾さん」のお代だったり・・・)

インド人は最初から確信犯とみた。
3年も付き合って一切合切クッキングシートまで持っていくとは、セコイ愛情のかけらも無い。
夢を語り合いながら、押入れの札束が増えるのを虎視眈々と狙っていたのだろう。
インド人、家賃払ってないよ、きっと。

母えり子に対してもそうだけど、人を見る目が危うくないか、倫子・・・。

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  1. 2008/05/01(木)
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