たなおろス。

妄想癖・脱線症と戦いながら、映画や本、世事について、思ったことを 棚卸し(たなおろし)するブログ。

笑う男 in ブラック・ダリア

映画「ブラック・ダリア」の中で、バッキー、リー、ケイの3人が劇場で映画を観るシーンがあります。( → ブラックダリアを観た感想はコチラ

ブラック・ダリア

映画を観ているケイ(スカーレット・ヨハンソン)が、息を呑んで両脇の男の手をギュッと握り締めます。ケイは怖がっているように見えますが、その映画のシーンは怖いというより、むしろ感動的なので、ケイのリアクションは感極まっているようにも捉えられます。
「ブラック・ダリア」に挿入された、白黒無声映画のシーンは以下の通り。

口元を黒いマスクで覆った男が屋敷にやってきて、部屋の入り口で中年の女性と話をした後、ベットに伏せている女性のもとにやってくる。そして意味ありげに男がマスクを取ると、女性は感極まった表情(どこか虚ろ)をし、2人は抱擁。
笑う男 ←実際は違うシーン

「マスクの下に何が隠されているんだ?ひょっとして吸血鬼か?」とドキドキするのですが、マスクを取ると意外にも普通(?)の顔で、ホラー映画にもラブロマンス映画にも見えます。「これは一体、どういう伏線なんだ?」と首を傾げ、デ・パルマなので意味が無いとも思えないし、ヒッチコックへのオマージュにしては、ちとテイストが違うし。すると、なんてことはない、ブラック・ダリアの公式サイトのプロダクションノートに答えがしっかり書かれていました。 その箇所を抜粋すると、

エルロイの言葉と複雑なプロットを映画化するにあたっては、小説にないトリックを使う必要もあった。そのひとつが、エリザベスの切り裂かれた口が、ヴィクトル・ユーゴの小説を元にした絵にヒントを得たものであるという原作の設定を、映画を使ってより効果的に見せる場面だ。デ・パルマは、バッキー、リー、ケイの3人が、ドイツ人のパウル・レニが監督した「笑う男」という、ユーゴの原作を映画化した作品を鑑賞するシーンを盛り込むことで、犯人の特定につながるエピソードを上手にまとめあげた。

いやはや。私は映画の原作「ブラック・ダリア」(ジェイムズ・エルロイ著)を読みましたが、確かにユゴーの「笑う男」なら小説に出ていました。それも重要ファクターとして。気づかないなんてアホでした。
「ブラック・ダリア」の原作にも映画にも、ユゴーの小説「笑う男」をモデルにした”絵 ”が登場します(掛けてある場所は違うけど)。
原作と映画の違いは、前者ではユゴーの”小説(本)”も登場し、後者は ”本”の代わりに ”映画”が使われたという点です。しかし、なぜ、公式サイトに書かれているような、「”映画”が犯人の特定につながる」んでしょうか?(原作では、”本”は現場や犯人の家に置かれていた)
確か、終盤でバッキーが見るフラッシュバックに、絵と共に映画のシーンが挿入されていたので、映画が連想ゲームの1コマになったということでしょうか?

そもそも、「笑う男」(The Man Who Laughs)の映画があることを初めて知りました。小説の存在も、原作の「ブラック・ダリア」で知ったくらいで、ユゴーの小説そのものを読んだことはありません(翻訳本出ているのかもあやしい)。ユゴーはレ・ミゼラブルしか読んでませんし。
ケイ、バッキー、リーが観ていた映画がコレです。↓ 

The Man Who Laughs

「笑う男」(The Man Who Laughs)(1928)
監督 パウル・レニ(Paul Leni) (ドイツ)
原作 ヴィクトル・ユゴー(Victor Hugo)
出演 コンラート・ファイト(Conrad Veidt)
    メアリー・フィルビン(Mary Philbin)
ストーリー
17世紀の英国。政敵に父を殺され、一族の怨念により口が耳の辺りまで裂かれ永久に笑っている顔にされた貴族の息子グウィンプレイン。やがて、港で凍え死んでいた女の盲目の赤ん坊ディーを助け、旅芸人の馬車に身を寄せる。15年後、不幸な笑い顔を売り物にする道化師“笑う男”として、一座の人気者になる。彼は美しい娘に成長したディーをひそかに恋していたが、たとえ彼女には見えなくとも、どうしても自分の顔のことを告げられない。そんなある日、一座はロンドン郊外の市で興行をはじめた。そこで彼を見た女公爵は、彼の異様な風貌に魅せられ、婚約者がある身でありながら、グウィンプレインにベッドをともにするよう強要する。“笑う男”グウィンプレインのたどる、英王室をも巻き込んでの波乱万丈の生涯やいかに 参照サイト

あのぉ〜、なんだかとても面白そうなんですけど(笑)。結末が気になるるる。
あの女性は盲目だったんですね。メアリー・フィルビンは映画の初代「オペラ座の怪人」のクリスティーヌ役の方だそうです。お綺麗です。
そして、男優はコンラート・ファイト。なんと、あの黒マスクの男は、「カリガリ博士」の眠り男 チェザーレだったんですね!こっちの方が驚きましたよ、わたしゃ。
コンラート・ファイト
左から、「笑う男」「カリガリ博士」「カサブランカ」、そして素顔(美形だわ!)

しかし、「ブラック・ダリア」の映画シーンでマスクを取ったコンラートの顔は、そんなに怖くなかったような気がします。手術で裂けた口を治したということなんでしょうか?それともやはり裂けていたのでしょうか?勝手に吸血鬼だと思い込んでいたので、牙にばかり目が行って気がづかなかったのかも。バッキーのフラッシュバックでは裂けていた気がするし。なんだか、かえって謎が深まってしまったような。

ところで、バットマンのジョーカーは、このユゴーの「笑う男(The Man Who Laughs)」が基になっているそうです。

ジョーカー

2008年公開予定のバットマン「The Dark Knight」での、ヒース・レジャーが扮する「笑う男」ことジョーカーが、どのようになるのか見ものです。ああ、これでもう、”あの頃 ”のヒースとは完全に決別なのでしょうか(にしても、短かったな・・・)。

   

  1. 2006/10/18(水)
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