たなおろス。

妄想癖・脱線症と戦いながら、映画や本、世事について、思ったことを 棚卸し(たなおろし)するブログ。

ロッキー・ザ☆パンチー!

近所のスーパーで、「ロッキーのテーマ」がよくかかっている。
この曲は、ボクサーには闘志を、一般市民には購買意欲を駆り立てる。
これが流れた日は、意気盛んにカートを転がし、いつもの2割り増し購入してしまう。まさにスーパーの思う壺である。これには、スーパーの従業員の労働意欲を盛り立てるというオーナーの策略も見え隠れするが、私は裏の精肉場で肉塊を打つ店員さんの姿を想像し、一人でにやけている。

そんな、世界中の人々のやる気をパブロフの犬の如く突如として奮い立たせるロッキーのテーマ(Gonna Fly Now)を、一度は劇場の大音量で聞いてみたい・・・!という念願が、「ロッキー・ザ・ファイナル」でようやく叶ったのである。

Rocky Balboa

スタローン脚本で、そのスタローン自身の手で抹殺されてしまった妻のエイドリアン(女性特有の癌で他界)。妻の命日に、思い出の場所巡りをするロッキー。ペットショップ、スケート場、家・・・同行する義兄ポーリーがうんざりするくらい、確かに長い。この回顧シーンのために妻の存在を抹消したとしか思えない(笑)

息子ロバートは今では証券会社に勤務しているが、うだつが上がらず、偉大な父親の陰にいることに卑屈になっている。(そういう時期はもう過ぎてると思うのだが)
そんな彼が、父のロッキーの無謀な果敢な挑戦を見て、最後には自分の道を歩む・・・・のか?これは(笑)。「長いものには巻かれろ」と開き直っただけかも。

今回新たに登場するのが、マリーとその息子ステップス。
シングルマザーでバーで働いているマリーを、自分のレストランにスカウトするロッキー。そこにあるのは、かつて不良少女だった彼女への親心のような・・・と思いきや、それにしちゃあまりにも熱心なロッキー。「下心はない」と言い張ってるが。
結局、マリーとの関係は微妙なまま、次回へと続く・・・・のか?もしかして

ロッキー・ザ・ファイナル

息子ステップスに対しては、父親不在の弊害や非行に走りそうな雰囲気を察知して、何かを決意して近づくロッキー。そんな彼を連れて行った先は、犬の保護施設。
「あぁ、動物を飼うことで、何か重要なことを教えようとしてるのねロッキー。
動物で更生するような歳でもないけど、ま、いっか」
なんて思っていたら、ステップスの意見を無視して自分の気に入った犬を選ぶわ、彼に面倒を看させるのかと思ったら、自分で飼うわ・・・・

あんた、単に自分のトレーニング相手が欲しかっただけじゃ・・・

ステップスは、檻の中から尻尾を振って寄ってくるキュートな犬を選ぼうとする。
しかしロッキーは、「これだ」と、隅っこでじっと動かない老犬を選ぶ。
犬の愛想のなさとくたびれ具合に、「あっちの方がいい」とステップスが主張すると、
「こいつは無駄な動きをしていない」と、ボクサー理論を持ち出すロッキー。

いやいや、犬は、ただ面倒臭いだけだと思うけど(笑)

「ロッキー・ザ・ファイナル」のpunchy

老犬をゴリ押ししたロッキーは、ステップスを犬の名付け親に任命する。
ここでも、なかなか名前を気に入らないロッキーが、ようやくOKした名前が「 パンチー」。
パンチ(Punch)じゃなくて、パンチー(Punchy) 。
適当に言ったステップスが、採用されて驚いていることから、変な名前なのだろう。
punchyには、punch-drunkの意味と、力強い・パンチの効いた、という意味があるらしい。
パンチドランカーなんて、ボクサーには縁起が悪いから、彼は驚いたわけだ。
以上が、ステップスの最大にして唯一の見せ場で、その後は鳴りを潜める(練習場と試合にはいたが)。彼に近づく時に見せたロッキーの決意の表情は、何だったのか。母親を落とすにはまず子供から・・・と考えただけだったりして。

で、めでたく、ステップス・・・ではなくロッキーに飼われることになったパンチー。
かつてスタローンの公私共にパートナーだったバッカス(Butkus)さながら、ロッキーのジョギングの横には必ずパンチーの姿。
初対面時同様、愛想が全くないところが、可笑しくて可愛い。尻尾も振らない。
それでも嫌がらず、懸命に走る姿が微笑ましい。紐付きだから、仕方ない(笑)
本音は、「老人同士だからって、付き合わされていい迷惑」といったところか。

「ロッキー・ザ・ファイナル」のロッキーとパンチー

劇中の登場人物の中で、一番懸念されるのは、対戦相手となるディクソン君だ。
現役の世界チャンピオンの彼は、あまりにあっさり勝ちすぎると言う理由でクレームをつき、不人気に陥っている。
そういう同情を誘うキャラゆえ、この時点でラストが見えた。
ロッキーとの戦いで男ぶりを上げ、人気を取り戻すのかと・・・。

そして、あの試合結果。現実的に見れば、初めて長丁場を戦い抜いたことへの賛辞より、「60代相手に苦戦しやがって。やっぱり相手が弱かっただけじゃんか」と、ますます世間の風当たりが強くなると思われる。
もし彼が嫌な奴だったら、あのラストに、観客はカタルシスを得られなかった。
つまり、あれはロッキーのための布石だったのか。健闘を祈る、ディクソン。

というわけで、ロッキーは完全燃焼し、その他の皆さんは不完全燃焼。
これぞ、ロッキーの、ロッキーによる、ロッキーのための映画。
原題が「ROCKY BALBOA」(ロッキー・バルボア)であることからも、「ロッキー・ザ・ファイナル」は、シルヴェスター・スタローンがロッキーに捧げたオマージュ映画。

さて、この映画を観に行った人々の最大の関心事は、「60代スタローンの体がどこまで作られているか!?」、に尽きるだろう。
そんな観客の期待と不安をよそに、なかなか裸を見せないスタローン。
トレーニング中はずっとトレーナーを着用。筋肉披露は試合まで引っ張る。
そしてようやく見せた久しぶりの肉体に、「おっ、意外とイケてるやんか!」と、驚くより先にホッとするのであった。

Rocky Balboa

しかし、スタローンの大胸筋に異様に浮き出た血管が痛々しい。
筋肉増強剤を打っている証だ(その後、所持してるところを捕まる)。
顔がむくんでいるのは、ステロイドの副作用だろうか。
最初、裸を見せないのは 出し惜しみか、撮影と同時進行で体作りをしたのか、さすがに体に自信が無いのか・・・などなど思っていたけど、薬の危険やCG処理(?)の出費を極力減らすためだったのかもしれない。想像だけど。
そんな危険を冒してまで試合シーンに全身全霊を捧げたスタローン。そしてベースとなる体は、やはりどうして60代には見えず、実際かなり頑張ったのだろう。

ロッキーリアルタイム世代じゃない私が、劇場でロッキーを観て感慨にふけったくらいだから、真のロッキーファンは感動することだろう。そして、ロッキー・バルボアのボクシング人生とシルベスター・スタローンの映画人生を重ね合わせる。この映画に向けられる観客の目は、想像する以上に温かいのではないだろうか。
ラジー賞の最多受賞者のスタローンだが、今作は、ロッキー続編としては異例の、ラジー賞にノミネートすらされなかった。

フィラデルフィア美術館で老若男女がロッキーステップするエンドクレジット

最後に、ロッキーに選ばれたパンチー君。表情がたまらん。

「ロッキー・ザ・ファイナル」のpunchy


  1. 2007/05/23(水)
  2. | トラックバック:0
  3. | コメント:0

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://tanaorosu.blog67.fc2.com/tb.php/169-dc772178
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
|