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Rのつく月には気をつけよう

4396632878Rのつく月には気をつけよう
石持 浅海
祥伝社 2007-09

by G-Tools

学生時代からの親友である長江、熊井、湯浅の男女3人が、恒例の飲み会を開く。
毎回酒と肴のテーマを決め、ゲストを一人呼ぶ。場所は長江の部屋。メニューは、

 生牡蠣×シングルモルトウイスキー「ボウモア」
 砕いたチキンラーメン×ビール
 チーズフォンデュ×オレゴンのシャルドネ
 豚の角煮×泡盛
 炒った銀杏と塩×静岡の純米酒
 そば粉のパンケーキ×ブランデー「ポールジロー」
 スモークサーモン×シャンパン「パイパー・エドシック」

一番惹かれた組み合わせは、バターたっぷり外がカリカリのそば粉のパンケーキとブランデーの組み合わせ。二つを口にした時のメンバーのリアクションに妄想始動。ブランデーと粉もの、バターの相性の良さはお墨付き(ブランデーケーキだってある)。 それを思うと、上記の酒と肴の組み合わせは単独メニューとして成り立っているものが多い。チーズフォンデュは白ワインでのばし、沖縄の角煮(ラフテー)は泡盛で煮る、生牡蠣にシングルモルトを垂らす・・・。
ちなみに『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』で、村上春樹がスコットランドのアイラ島で生牡蠣×ボウモアの組み合わせを教わったときの感想は、
「牡蠣の潮くささと、アイラ・ウィスキーのあの個性的な、海霧のような煙っぽさが、口の中でとろりと和合するのだ。」

でも、この飲み会の一番の肴は推理ごっこ。
一回きりのゲストはいわば格好のネタ元提供者で、それを肴に飲む会といった趣。
悪魔的頭脳を持つと繰り返し評される長江が疑問を提起し、得意の推理を披露する。他の2人は長江の結論に同調しゲストも納得するので、それで決定してしまう。2話3話と読み進めるうちに、3人が手ぐすねひいてゲストを待ち構える様が目に浮かんでくる(それを世間では詮索好きという)。中には自ら判断を仰ぎたいと参加する奇特なゲストまで。お酒は美味しそうだけど、ゲストに呼ばれたくないなぁ(笑)。

まず最初は、表題作にもなっている生牡蠣の話。
推理を始める流れがちょい不自然で、結論にも首を傾げてしまう。

次のチキンラーメンの話で、ますます怪訝。
人はそんな回りくどい意思表示をするものだろうか?
粉をぶちまけて咄嗟にそんなリアクションをとるだろうか?
夜とはいえ、さっと掃除機をかけられないほどボロいアパートなのか?(笑)

次はチーズフォンデュ。フォンデュに使う硬いフランスパンに「そっか、こんなふうに食べればよかったんだ」とゲストの女の子が呟いたところをすかさず食らいつく3人。彼女は義理チョコのお返しが硬いフランスパンだった件について話し---
う~ん、今どきそんな、わたせせいぞうな奴っている?(笑)
3人に炊きつけられた末に、単にパンが硬かっただけだったらどうする。

次は角煮。またもや、「やっぱり角煮は柔らかいのがいちばんだな」のゲストの一言に食らいつく3人。当たり前のこと言っただけだぞ。
ナニナニ?彼女が作った角煮がいつも柔らかいのに硬かった?悪かったわね(笑)。
なぜ肉が硬かったかの推理はどうぞご自由にだが、そこから彼女の真意まで推し量るのはちと無理がないか。だいいちそんな不確かなものに将来を託すかなぁ。
それに、硬い角煮が食卓に出れば、「硬いね」か無言のどちらかだろう。
「もうダメかな」「力を合わせてがんばろう」とは決して言わんだろう。
料理をしない湯浅夏美が、もし自分が硬い角煮を出されたらやっぱり愛情が足りないのだと思う・・・だなんて、どの口で言うか(笑)。

銀杏の話は、単純なことをあれこれかき回して基本に戻ったわけで・・・。

そば粉のパンケーキは、そば粉アレルギーつながりで海老アレルギーの話に。
唇が腫れていたことで浮気を疑われていた婚約者は3人の推理でもっと重い判決を下される。・・・って、それだけの材料で決め付けていいんか(笑)。その決定は人の人生を左右しかねないんだぞ。
海老じゃなくて、単に唇が山芋にかぶれただけかもしれないのに。

面白ければ一気に読めてしまう類の本なのに、少し間が空いた。
はたして推理されたそれらは本当に真実といえるのだろうか?
当事者がいないところであれこれ心中を探り、決定付けてるのってどうなんでしょ。会ったことも無いのに。 自己満足や憶測の域を出ていないのでは・・・。
小説的にはそれが正解なのだろうけど、読んでいる方としては事実が明らかにされて、「えっそうなの」というより「んなわけあるかい」と思ってしまうのでありました。

ようやく最後まで読んで、あぁなるほど、と。
作者は最終章のアイデアをまず考え付き、そこから話を肉漬けされたんですね、きっと。著者の小説を読むのは初めてで、本格推理の方だということを失念していました。推理を始めるのが不自然だの心理がどうだのと持ち出すこと自体、お門違いだったようで(笑)。

4101001510もし僕らのことばがウィスキーであったなら (新潮文庫)
村上 春樹
新潮社 2002-10

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