これが、かなり食べ合わせが悪かったようで、後々、消化不良を起こしてしまう。
冒頭、南條玲子扮する道子の春夏秋冬ジョギングシーン。マラソン選手かと思いきや、ソープ嬢(源氏名:お市)であり、タイムを計ったり走り込んでいる割には、特に大会に出場するというわけでもないらしい。最初は真剣に見ていなかったのだが、所々画面に釘付けさせる名(珍)場面が挿入されている。
例えば、同僚のローザ(源氏名:キリシタン)が飛行機の音を聞くと、
「ファントムではなくイーグルだ。イーグルはすでに実戦配備についている
」という意味不明のセリフ(字幕付き)。なんだか雲行きが怪しい、ただモノではない臭がプンプンと匂ってきたところに、愛犬シロが何者かに殺されてしまう!

実はそれまで見続けていたのは、ほとんどシロのおかげだった。冒頭のジョギングする道子の横に白い犬がいた時から、この微妙なブチ加減から由緒正しきセッターと思われるシロ(本名:ランドウェイ・KT・ジョニー号)に釘付けたった。そのシロが湖岸で頭から血を流して倒れていた!(しかも放置されているなんてひどい)
ジョギング!・・・・・じゃなくて、ショッキング!
「オー・マイ・ガッ!シロォォォ〜!!!」
「本当に死んでないか?」と物騒なことを言う相方。(それくらいリアル)
その後の犯行時の目撃証言(菅井きん)により、シロ殺傷事件の一部始終が明らかになる。湖岸で鯉料理ショーをしていた男が、失敗して鯉を無残にブツ切りした挙句(鱗ぐらい取らんかい)、近くに寄ってきたシロにまで八つ当たりをしたのであった。出刃包丁で殴られ、頭から血を流しながらヨロヨロと道子を探して走り続ける姿は健気で、涙無くしては見られない。ランドウェイ・KT・ジョニーよ、迫真の演技である。

↑あれ?シロ、薄目を開けてる?(とりあえず、生きてて良かった・・・)
事実を知った道子は犯人探しに奔走する(これは大いに同調できる)。
「ソープ嬢がマラソン選手になる映画かと思ったけど、これは復讐劇なのか?」
ここから、関心が高まったので、ネットであらすじを検索。→ 拝見ブログ(オススメ)
「なんじゃ、こら?」
本当にそんな映画が成り立つのか・・・?と逆に興味が湧き上がるほどのトンデモストーリー。これを相方に伝えると、
「橋本忍はもう、おじいちゃんなんだから」 (これはフォローしてるのか?)
その後、犯人が日夏という有名作曲家だと知り(どうりで魚を捌けないわけだ)、東京でローザと再会(実はスパイだった) → 駒沢オリンピック公園でジョギング対決(日夏を一方的に追いかけて逃げ切られる) → 沖ノ島の民家を見て号泣(↓詳細) → 銀行員と笛の男の間で揺れる女心 → 戦国時代の悲恋(高橋恵子、星野知子、北大路欣也、大滝秀治と、無駄に 豪華。あの串刺し&逆さ磔の刑はいかがなもんか?)→ 笛の男の衝撃告白(僕はNASAの宇宙パルサー) → 日夏が上手い具合にソープに来店 → 死闘ジョギング再対決(完全にギャグ)へと突入。
「沖ノ島・・・あれが沖ノ島・・・沖ノ島はあたしだと思って・・・
一人ぼっちの寂しい島だと思ってたのに。
裏側にはあんなに家と大勢の人・・・!」
沖ノ島も いい迷惑 である。
長谷川初範よ、なぜ真顔でいられる?
クライマックスは、完全にジョギング対決に摩り替わっており、死ぬか生きるかの瀬戸際の日夏も包丁を持った道子もペース配分を考慮しながら走る。ようやく追い詰めた道子は日夏を一度追い抜く。「勝った!シロ、長尾さん、淀さん、ローザ、それに倉田さん、勝った、あたしが勝ったわよ!」ここで、かたせ梨乃(源氏名:淀君)の名前が挙がるのは意外だった。(しかも、婚約者はついで)
が、最後はしっかりシロの仇も討ち、血飛沫と共にスペースシャトル発射

実は、本当に難解なのは、この後である。笛の男が宇宙に飛び立ち、高度185kmで宇宙遊泳しながら一人ゴチする内容が、私の頭では理解できなかった・・・。
愛犬を殺されて復讐するという点は、大変素晴らしい 。しかし、犬を放し飼いにする道子の行動が発端でもある。この復讐劇は、犬への愛情だけでなく、彼女の偏執的粘着質によるものが大きいと思われる。こういう女性に言い掛かりをつけられたら、それはもう運が悪かったとしか言いようが無い。ストーリーがトンデモでも、道子の人格は、ある意味一貫している。強迫観念、被害妄想、統合失調症(精神分裂)・・・いわゆる妄想性人格障害ではないかと思われる。同類の私が言うのだから間違いない。これは所々のセリフからも伺える。
「私は来年結婚するの。(相手は)どこの誰だかまだわからないけど
」「日夏が憎い。東京中の人間が皆、日夏を庇っている
」とすると、笛の音や男・戦国時代・スパイローザの存在・スペースシャトル等が、全て道子の幻覚・幻聴だとしたら、とてもしっくりくる。道子自身も言ってるではないか、
「私が見たのは、幻のヒト(笛の男)と幻の犬(シロ)だったのかも・・・」
おいおい、シロまでもが幻だったら、殺された日夏が浮かばれないぞ。
この映画、現実と虚構の区別がつかない妄想型統合失調症の女の話だったら、S・キング風のサスペンスやデヴィッド・リンチと肩を並べるシュールな作品になっていたかもしれない(たぶんない)。
とにかく、道子という女性に関しては意外とリアリティがあるのであった・・・。
幻の湖 キャストはなんとも豪華である。南條玲子 隆大介 北大路欣也
関根(高橋)恵子 星野知子 かたせ梨乃
長谷川初範 大滝秀治 光田昌弘
室田日出男 テビ・カムダ 谷幹一
北村和夫 仲谷昇 下絛アトム
大滝秀治 宮口精二 荒木由美子 菅井きん
結局、人気No.1ソープ嬢の淀君(かたせ梨乃)が、一番まともだった気がする。
「父親たちの星条旗」の麗しのライアン・フィリップ(10年越しのファン
ついに離婚決定!)に想いを馳せれば、逆さ磔の画が被さり、クリント・イーストウッドの構想よりも橋本忍の頭の中が気になって仕方がない。良い夢よりも悪い夢の方が尾を引いてしまう、そんな感じだ。少なくとも、観る日を改めるべきだった・・・。今日のわんこ
イングリッシュ・セッター (English Setter) イギリス

スピードを落とさずに長時間走ることができ、優れた運動能力を持つスポーツ選手のような狩猟犬。まさに、「幻の湖」にピッタリであるが、シロのように野良犬にはあまりいないと思われる(注:斑点模様は汚れじゃないのよ〜)
ちなみに、イングリッシュ・セッターのブチの色合いを見ると、なんとなくノーマン・ロックウェル(Norman Rockwell )の絵を思い出す。


